最も一般的で、数の多いのが掛軸の天神様です。

大きさ

尺八巾
最も多く売れている大きさです
表具前の本絵の巾が約1尺8寸(約55cm)
製作した表具工房により若干異なりますが 完成品の幅は一番広いところ(軸先の左端から右端まで)で75cm 丈は200cm程度です
丈は飾る場所に合わせて30cm程度までは縮めることができます

尺五巾
旧来から多く用いられている大きさです
表具前の本絵の巾が約1尺5寸(約45cm)
製作した表具工房により若干異なりますが 完成品の幅は一番広いところ(軸先の左端から右端まで)で65cm 丈は180cm程度です
丈は飾る場所に合わせて25cm程度までは縮めることができます

尺巾四尺丈
飾る空間があまり要らない大きさです
表具前の本絵の巾が約1尺(約30cm)
完成品の幅は一番広いところ(軸先の左端から右端まで)で45cm 丈は120cm程度です

尺巾三尺丈
洋間にも置けます 飾る場所を選ばない大きさです
表具前の本絵の巾が約1尺(約30cm)
完成品の幅は一番広いところ(軸先の左端から右端まで)で45cm 丈は90cm程度です

天神様掛軸と一般掛軸の違い

一般の掛軸
三段表装と呼ばれている表具の形式です
絵の周りのみ表具用の表布を用いて 上と下は安価な布を使います
一般の掛軸の様式です
プレスする機械 (畳1枚ほどの大きさのズボンプレッサーのような機械) を用いて製作します
価格が3万円以下の商品はほとんどが印刷です



天神様の掛軸
本丸表装と呼ばれている表具の形式です
本絵と外側の表具布の間に中回し(内側の囲い)がついて囲いが二重になっています
表具職人の手で1つずつ表具された掛軸です
仏事の掛軸(仏さま、観音さま、名号[南無阿弥陀仏])など拝む対象としての掛軸に用いらける豪華な形式です

宇陀表装

裏打ちに手漉き和紙を利用した表具の製法です
手漉き和紙は大きさに限界があるので 継ぎ目の部分が50cmおきに水平な線で現れます
不良品と誤解され易いですが高級品の証拠です

矢印の先が継ぎ目の部分

掛軸の裏側から見た継ぎ目の部分

四隅の布模様合わせ

表具布は4つの部分(天 地 柱が2本)があります その接合部分の柄を合わせる技法です
表具布は始めに布を水に浸して織物の歪みを除きます その時に布は5%程度縮みます  これを考慮した上で模様を合わせるのには熟練した高度の技量が必要です
この技法は高田卸方屋が考案し表具工房と共同開発したものです
高田卸方屋の商品名は「京正表具」です



一般の表具
四隅の柄が合っていない表具

京正表具 並
四隅の柄が合っている表具
左右対称の図柄(幾何学模様)が繰り替えされているもの

京正表具 上
四隅の柄が合っている表具
左右対称でない図柄(鳳凰や花)が複雑に組み合わされているもの

軸先

掛軸を巻く時に手に持つ部分で様々に素材が使われています
価格の安い順に並べてみました

プラスチック
安価なため量産品よく使われます

木製
黒檀が使われることもありますが、少量なので比較的安価です

陶磁器
清水焼 美濃焼など様々です

動物(主に牛)の骨
象牙に似ているので通称代用と呼ばれます

九谷焼高田卸方屋オリジナル
九谷焼永楽の本金です
陶磁器の金は火に入れるため本金以外は使用できません

象牙
国際条約により輸入が禁止されているのでため国内在庫のみです
軸先としては最高級品です

風鎮

風に煽られて掛軸が痛まないようにするための重しです
普段 掛軸にその分の重さが余分にかかるため 室内で風のない状態では使用しないほうが掛軸が痛みにくいです

オニックス(大理石)
安価なためサービス品としてよく使われます

陶磁器
様々な絵柄のものが販売されています 写真は九谷焼吉田屋風です

九谷焼高田卸方屋オリジナル
九谷焼永楽の本金です
陶磁器の金は火に入れるため本金以外は使用できません

太巻

経年に因る絵の横シワの抑えるために掛軸を緩やかに巻くためのものです

太巻で軸棒(掛軸の下の棒状の部分、巻く芯)を挟みます

そのままゆっくりと巻いていきます

桐箱に納まった状態です

掛軸の天神様を収める箱は内側から桐箱 塗箱 化粧箱(タトウ箱)と3つあります
一般品は桐箱と化粧箱の二重 高級品は三重になります

桐箱
昔は桐箱は高価でしたが、現在掛軸用の桐箱は外国から安く大量に輸入しています
ほとんどの掛軸の天神様が桐箱に納められています
通常 桐箱の蓋の内側に作者の落款が入ります

塗箱
表面を塗装した木製の箱
桐箱を保護するための箱です

無地のタトウ箱
無地の厚紙で作られています

化粧紙のタトウ箱
無地のタトウ箱の上に化粧紙を貼っています

布張りのタトウ箱
無地のタトウ箱の上に織物を貼っています

高田卸方屋オリジナル布張りタトウ箱
無地のタトウ箱の上に高田卸方屋オリジナル法皇柄の織物を貼っています